「人はもはや進化をしない生き物ではないのか」。その代わりと云ってはお門違いだが,チップの進化はやがて人を置き去りにしていくだろう。人の踏み込めぬ,神の領域へと進むチップ,結局,地から足を離すことができぬ人間…。
チップ・メーカーは今週のマイクロプロセッサー・フォーラムに向け,動きが激しい。AMDは4日,700MHz版アスロンを発表。それにともない650MHz,600MHz版を値下げした(日本での価格はCPU最安値情報がわかりやすい)。また,サーバー向けに特化したアスロン・ウルトラチップを積んだサーバー機をフォーラムで公開する。対するインテルは,新しいペンティアム3のベースとなるコッパーマイン技術の詳細を明らかにするとともに,サーバー向けペンティアム3としてのジーオン600MHz版と667MHz版が発表される。また正式にブランド名が発表された64ビットプロセッサー,アイテニアムの詳細も披露する(すべて予定)。
トランスメタの話題だけだと,浮世離れしそうなので(^^ゞ,大手2社の話も。7月29日のこの欄で,アスロンとペンティアム3の600MHz版を取り上げたのに,2ヶ月ちょっとで700MHzのチップが正式に発表される,600MHzは大幅に値下げされる。人はチップの進化の過程の前では,退化を必然とする生き物と思われるように…。そしてさらに,64ビットチップ,アイテニアムも徐々に表に出始めた。Daiki's pc-infoによると,AMDもK8,スレッジハマーと呼ぶ64ビットチップの概要をフォーラムで発表するという。アイテニアムの現行32ビットとの互換性の悪さを取り上げ,AMDはその互換性の良さを売りにする戦術をとる方針も描き出されている。
現在,64ビットチップは,主に高性能のサーバー・ワークステーション向け。1秒間に60億回の浮動小数点演算をこなすその性能は,神の領域に踏み出すものと云われている。そして,現在の進化のスピードをかんがみると,パーソナルなコンシューマーPCにそれが乗る日も,そんなに遠い先ではないことが感じられる。神の領域がパーソナルの机に舞い降りてくる,その時,机の前の人は,いかなる姿になっているのか,想像がつかない。…PCチップは一歩ずつ,そこへ歩みを進めている。
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